学校法人 星野学園中学校

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在校生用のお知らせ

2017/8/12

難関大特講小論文【編集中】

8月7日に行われた「難関大特講小論文」について、補説します。

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【構成について】

第一に、小論文において、「これこれこういうふうに形式段落を分けなければならない」というルールは存在しません

(後述しますが、長い字数ならば「こう書くとよい」という定型がありますが、短い字数ならば、かなりの自由度が出てきます。)

出版されている書籍を読むと、実に様々な形式が推奨されていますが、このようになってしまう背景には、「そもそもルールがない」という実体があります。

なぜルールがないのかというと、主な理由として、「そもそも300字~600字くらいの分量で、正しい構成の論文を書くのは無理だ」でということが挙げられます。

通常、形式段落1つぶんは、「200字程度」になります。それゆえ、制限字数が「800字」であれば「4段落構成」で書くことが普通です。ざっと分けておくと、

 200字 → 段落は分けない(1つの段落で書ききる)

 300字 → 段落は1つか2つ

 400字 → 段落は2つ

 500字 → 段落は2つか3つ

 600字 → 段落は3つ

 700字 → 段落は3つか4つ

 800字 → 段落は4つ

 900字 → 段落は4つか5つ

 1000字 → 段落は5つ

というようになります。もちろん、構成の仕方によって、上記のようにならないこともありますが、目安としてはこのようなものです。

さて、「論文」というものは、多くの場合、最低でも5段落くらいの形式段落が必要になります。

ところが、大学入試で問われるような「論文」では、5つもの段落に分けることはほぼ不可能な字数で設定されていることが多くなります。

すると、「推奨される論文の構成」というものをそのまま使用することが困難になってしまうので、どうしても「崩す」必要が出てきます。その「崩し方」において、様々な流派が存在し、様々な書籍が出版されている、というのが現状です。

要するに、大学入試における大多数の「小論文」は、常識的な「論文」に比べると、あまりにも字数が短いために、「このように書かなければならない」という「絶対的な構成」はないことになるのです。

たとえば、

① 問題提起 ② 意見・理由 ③ 具体例 ④ まとめ

という構成も可能ですし、

① 問題提起と意見 ② 理由と具体例 ③ まとめ

という構成も可能ですし、

① 問題提起 ② 意見 ③ 理由1 ④ 理由2 ⑤ まとめ

という構成も可能になります。

したがって、参考書等で推奨されている「構成の仕方」というものについては、極論すれば「すべて正解」ということになります。どの構成についても、それなりの説得力がありますし、その一方、弱点もあります。

まずは、このように、「字数が短ければ、どのように書いても間違いではないのだ」ということを念頭に置いたうえで、逆を考えてみます。

字数が長い場合には、どうなるのでしょうか。やはり様々な構成の仕方があるのでしょうか。

もちろん、いくつかの方法論が出てきますが、字数が短い時ほどの「バラバラさ」はなくなります。つまり、

字数がある程度長い場合は、それなりに決まった構成がある。

ということができます。

たとえば、アメリカでは、MLA、 APA、シカゴ スタイルなどといった「決まった論文の型」があり、注釈のつけ方にまで形式があります。そして、多くの懸賞論文などでは、「シカゴスタイルで書いてください」というような「規定」があるのです。

では、「決まった論文の型」というのはどのようなものなのでしょうか。

以下には、その「一例」を挙げてみます。

中心的に参考にしたのは、

小野田博一著の『13歳からの論理ノート』

吉岡友治著の『シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術 ~ 世界で通用する20の普遍的メソッド』

です。

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1000字以上(形式段落5段落以上)の字数で「論じる」場合には、次の「基本構造」を意識すべきです。

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これこそ、「論文」の基本的な考えです。「課題文」がある場合は、その要約を「序論(A)」の中に含めてもよいですし、「A」の前に独立した段落を作ってもよいです。

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さて、さらに細かく見ると、評価される論文に必要な「パーツ」は、概ね以下のとおりになります。

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前述した「基本構造」になぞらえれば、

A(序論)=abc

B(本論)=de

C(結論)=f

という形式になります。

難しく考える必要はありません。この「6つ」があれば、「6×10点=60点」が入り、その内容がよければ、さらに40点入る、というような考え方でよいのです。まずは、「文と文の役割が分担されている」ことが重要になります。

なお、上図には「問い」のパートを書いてありますが、「課題文」に対して見解を述べるようなタイプの論文は、多くの場合、問いを立てる必要はありません。

なぜなら、「課題文の要約」をし、それに対して「賛成/反対」を述べてしまえば、「課題文は正しいか?」という暗黙の問いが存在していることになるので、あえて文章に出す必要はないからです。

また、たとえば「都市部においてゴミの量を減らすことは可能か」などという設問に答える場合、そもそも設問が問題提起なので、答案においてそれを繰り返す必要はありません。

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さて、混乱しやすいのが、cとdの違いです。

普通、論文には「理由」がたくさん書かれますが、その「理由ひとつ」につき、「証拠(具体例)」をセットにして、段落ひとつにまとめることになります。そのため、「理由」が「3つ」あれば、「本論」は「3つの段落」になるのです。その際、「その3つの理由」を「概括的にまとめた理由」を、「序論」ですでに書いておく必要が出てきます。それが「c」の扱いです。

いわば、

c ≒ 概括的理由(総論)

d ≒ 個別的理由(各論)

という区別です。

具体的に見てみましょう。

たとえば、次のような論は、

序論

本論①

本論②

本論③

結論

という「5段落」になります。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

① 通常、学校には制服が存在する。私は、制服には反対である。なぜなら、制服は不自由であると言えるからだ

② 第一に、身体的に不自由である。ジャージに比べて息苦しい。

③ 第二に、選択的に不自由である。私服に比べて種類に乏しい。

④ 第三に、感覚的に不自由である。「決められたもの」を強制されている。

⑤ このように、制服は不自由である。したがって、私は制服に反対である。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

①の下線部で述べている理由を、細かく分けて具体化したものが②③④に書かれていることになります。さらに、最後の「まとめ」では、一回バラバラに述べたものを、再び一般化して概括する必要が出てきます。自ずと、「序論」の最終文と、「結論」の冒頭文は、表現の違いこそあれど、同じような内容を述べることになります。本来の論文というものは、このような構成になることが基本であると考えてください。

しかし、300字~600字程度で書く論文の場合、「理由を複数に分けていく」ことは困難ですし、効果的でない場合も多くなります。それゆえ、たいていは「理由をひとつ」書けばいいことになります。

すると、上記の形式を律儀に守りすぎると、「序論」の最終文と、「本論」の冒頭文と、「結論」の冒頭文が、たいして距離が離れていないのにもかかわらず、ほぼ同じ意味内容になってしまいます。たとえば、次のように。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

① 原子力発電所に反対する。なぜなら、他の発電所に比べて、費用がかかるからだ

② 原子力発電所は、費用がかかる。たとえば、ウランやプルトニウムは~の値段で購入している。

③ このように、原子力発電所には大きな費用がかかっている。したがって、原子力発電所に反対する。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

どうでしょうか?

上に示した例のように、理由がひとつしかなく、それゆえ「本論」がひとつしかない場合、

概括的理由(ⅰ)

個別的理由(ⅱ)

一般化(ⅲ)

の間に表現の差がほとんどなくなってしまいます。

特に、(ⅰ)(ⅱ)は構造上そもそも隣り合っていますから、思い切ってどちらかをカットするという手法が認められることになります。

したがって、次のようにルール化できます。

理由がひとつしかなく、それゆえ本論をひとつしか書かない場合、〈序論〉の最終文か、〈本論〉の冒頭文か、どちらかに「理由」をカットしてもよい

(「文学部」の小論文であれば、「理由」は序論に書いておいたほうがよいですが、他学部であればその限りではありません。どちらかといえば、字数のバランスで調整したほうがよいでしょう。)

もちろん、実際には(ⅰ)→(ⅱ)の間には、「抽象→具体」という役割の違いがあるので、

理由を述べる → その理由をさらに詳しく説明する

という「段階」が示せるのであれば、両方書けるほうがよいのです。

しかし、試験本番中の受験生の頭がそこまで回るものでもありません。

(ⅰ)と(ⅱ)の間に「差」をつけることが困難で、ほとんど同じような表現になってしまうのであれば、思い切ってどちらかをカットしましょう。そのほうが「具体例」を書くスペースが広く確保できます。

さらに言えば、(ⅱ)をカットしたとし、

理由(ⅰ)

具体例

一般化(ⅲ)

という構成にしたとしても、今度は、(ⅰ)と(ⅲ)も同じような意味内容になってしまいます(論理的には、そうならなければおかしいのです)。

1000字以上あるような、字数の長い小論文であれば、(ⅰ)と(ⅲ)は全く同じような表現でも許されます。

しかし、500字前後の小論文の場合、(ⅰ)と(ⅲ)はひとつの具体例しか挟まないことになるので、読者(採点者)からすると、けっこう近いところに同じことが書かれている印象を受けます。

論理的には正しいことなので、減点されることはありません。ただし、表現があまりにも似ていると、その部分に加点されることはなくなってしまいます。

そこで、(ⅰ)と(ⅲ)は、「同じような意味内容であっても、表現を変えてみる」という工夫をすると、説得性という観点で加点を見込むことができます。

たとえば、(ⅰ)では「対象化」と書いていたものを、(ⅲ)では「客観化」などと書くなど、「類義語」を用いてみるのも効果的です。

あるいは、(ⅰ)では「特別ではない」と書いていたものを、(ⅲ)では「一般的である」などと、「対義語を(否定構文で)使用する」ことも一手段です。

あるいは、(ⅰ)では「普遍」と書いていたものを、(ⅲ)では、「常にあてはまる」などと、「辞書的にかみくだく」という手法も効果的です。

(こうしてみると、現代文の設問として見立てれば、(ⅰ)が傍線部であり、(ⅲ)がその記述答案といったような関係が成り立ちます)

以上のことは上級テクニックなのですが、

(ⅰ)→(ⅲ)に向けて、ほんの少し具体化されていることがコツです。

「具体例」で語った話題を巧妙に取り入れるなどして、(ⅰ)よりも(ⅲ)のほうが多少なりとも議論が進んだように見えることが大切です。

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

では次に、成績上位の受験生と、そうではない受験生を分ける大きなポイントとなる「結論」について見ていきましょう。

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上記のことは意識しておきたいものです。

ついでに、「表現」と「表記」の注意点についても見ておきましょう。

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いろいろとややこしい「決まり」があると感じるのではないでしょうか。

このような「定式」にこだわるのには理由があります。

「論文とはこのような流れで書かれているものだ」という共通理解があることによって、読者に解釈ストレスがかからなくなるのです。

「意見」がどこにあるのか、「理由」がどこにあるのか、「例示」がどこにあるのかが「決まっている」ことによって、「中身」にほうに注力して読むことができるのです。

逆を考えてみましょう。何らかの役割を果たすべき文がどこにあるのかわからない状態では、まずその「構成」を把握するのに時間がかかってしまいます。これは論文の世界では許容されません。

論文の世界では、

序論には序論の役割(ひとまず全部言っておく)

本論には本論の役割(証拠・例示を挙げつつ、詳しく述べる)

結論には結論の役割(これまでの流れをまとめつつ、次の議論のたたき台をつくる)

という「分担」があるのです。

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以上のことを下敷きにし、「原子力発電所の継続的使用」を題材に、基本的なテンプレートを見てみましょう。

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◇  ◇  ◇  ◇

いかがでしょうか?

本来であれば、短い字数であっても、「テンプレート」に則って書くことができます。

続いて、いくつかの「応用パターン」を見ておきましょう。

ここでは、

「だいたいの大学入試は次の3パターンで書くことができる」

というテンプレートを見ておくことにします。

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第一に、〈問題⇒解決〉型の構成を見てみましょう。慶應経済に多いパターンです。

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「ゴミ問題」を例にしてみましょう。

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第二に、〈議論〉型を見ておきましょう。慶應法学部に多いパターンです。

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死刑制度を例にとってみましょう。

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最後に、〈解釈・追究〉型を見ておきましょう。慶應文学部に多いパターンです。

 

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これについては、8月7日の講義で扱った「文学は戦争の対義語たりうるか」という問題について、卒業生の優秀答案を3つ挙げてみます。

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〈A〉〈B〉〈C〉のなかでは、〈C〉が最も得点が高いです。テンプレートに正しくあてはめながら、かつ、内容も濃いものになっているからです。


 

 

 

 

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